個展『道路』会場挨拶
とにかく道路の魅力にひきつけられて写真にとるのですが、それで言葉のいらない美の世界へたどりつくのかというと、残念ながらその反対です。うつくしいとか、おもしろいとか、かっこいいとか、そういう感動のかけらでもいいから写真にしたい。でもそれと同時に頭の中には、道路の、社会基盤としての圧倒的な重要性や、人知をつくした建設技術や、公の設備であることの制度的意味、敷設だけでなく継続的な維持管理もふくめた費用対効果の問題、そして複雑きわまりない生態系への影響、さらには人の世界認識に対してはたす役割、などなどの議論が、とめどなくわきあがります。風土と、歴史と、国家について、否応なくかんがえさせられてしまうのです。