テレビやネットだと、なんか、まるで、巨大電力会社の技術者や、日本国政府の高官よりも、知見が豊富で判断能力があるかのような口のきき方をしちゃう人がたくさんいるので、つい、みているだけの自分も、いっしょになって人をバカよばわりしたりたくなる。でも実際のところ、私たち一般人は、国家的な大災害について、責任の一端をになうどころか、テレビにでてカメラの前で意見をいうだけの度胸さえないものだ。
東電の端株をもっていたり、前回は民主党に投票したり、そのぐらいで一家言をぶちかますのは勘ちがいというものだろう。学校の先生とか両親とかをバカにして、一人前の気分になっている生意気な子供と大差ない。
東北太平洋沿岸の、目をそむけたくなる惨状と、原発にまつわる、目をこらしても何もみえない危機の前で、あまりにも何もできない自分に気づく。何かできないのか、何か、ちょっとぐらい役にたてないのか。自分があんまりにもちっぽけなので、有識者の政府批判には溜飲がさがるし、救援物資の箱づめを手つだったりすると満足感がある。そしてどうにもしようがない悲惨について、「国」の責任を、当然のように期待して文句をいいたくなる。そういう時、私たちはこの国の、主権者ではなく、消費者にすぎないだろう。それはおぼえておいた方がいいだろう。